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【BESPOKED Osaka】メカ目線レポート by ドラ


行ってきました。BESPOKED Osaka


初日金曜日の自転車業界関係者とメディアのみ入場可能な時間帯に早速駆け込みましたが、すでに業界関係者で大賑わい。
我らがSimWorksブースも人が溢れて話しかけられないほどでした!

さて、そんな賑やかな会場のなかをグルグルと回って、いろいろな方に話を聞いてきました。

先に言っておくと、国内外を問わず、ブースに立つ人たちはみんなフレンドリーで優しく、自分たちが生み出すものへのパッションを感じました。僕は英語がそれほど得意ではありませんが、拙い英語にも真剣に耳を傾けてくれて、とても話しやすかったのが印象的です。

展示しているプロダクトが興味深いのはもちろんですが、ヒトが作り出すモノだからこそ、そのヒトそのものに対する興味も湧いてくる。これはAIだとかSNSだとかITだとか文明やテクノロジーがどんどん発達していっても、結局はどこまでいってもヒト対ヒトであることは覆らないのだと思います。

今回はそんな会場のなかで、個人的に気になったビルダーの作品やパーツを、作り手から聞いた話も交えながら紹介していきたいと思います。

EQUILIBRIUM CYCLE WORKS / エクイリブリウム サイクルワークス

一見キワモノに見える32erを採用した中央の32erグラベルバイク「Brutalist 32」。

1950年代にイギリスで始まった、コンクリートやレンガなどの素材をむき出しにした建築様式「ブルータリズム」からインスピレーションを受けたこのバイクは、素材そのもののカタチや質感、製作工程が露わになったディテールが印象的でした。

設計的な部分にフォーカスしていくと、リアホイールがBBにかなり接近しているのが見て取れます。
各部に選定されたチタンチューブとのバランスも相まって、見た目のインパクトとは裏腹に、機動性と安定性をうまく両立した走りを狙っているのが興味深いところです。

Titanium3Dプリントでエンド・ラグを制作して溶接してカタチにしたバイクはなんと6kgと大変軽量で怖いくらい。

こちらはセラコート仕上げのチタンバイク。元々はもう少し寒色寄りのカラーだったようですが、経年変化で暖色寄りのカラーになったそう。

今回の話を聞いた限りでは、薄くて強い塗膜はセラコートはチタンバイクとの相性が良いとのこと。通常の塗装ではすぐに欠けたり、塗膜の厚みでシートチューブなどの装着が難しくなったりするので、長寿命のチタンバイクを検討されている方はセラコートという選択もアリなのではないでしょうか。

YANAGI CYCLE / KAZUSA / QUIET / ヤナギ サイクル

個人的にずっと工房を訪れたいと思っていた千葉のyanagicycle

林道やグラベルを楽しく遊べるグラベルグラインダーであるKAZUSAと、ロングライドもちょっとした悪路もガンガンこなすオールラウンダーなQUIETを展示されていました。

こちらのKAZUSAは初期に製作したものをGHOOOSTの林太郎さんが磨いて日東でメッキ加工を施し仕上げたもの。

フレームの造形もさることながら、目を惹いたのがSUKIYAKI BIKESの手彫りパーツの数々。
普段はフルタイムで働きながら、仕事終わりの1〜2時間と休日を使って2か月ほどで仕上げたそう。

個人的にシートポストの「柳」の手彫りが渋くてやられました。
それぞれの才能が重なり合って生まれたスペシャルなバイクは纏う雰囲気がやはり違います。

こちらの赤い自転車はYANAGI CYCLE ビルダー飯泉さんの私物だそう。
身長2m近い飯泉さんに合わせてトップチューブ長は600mm超えの大きなサイズ。

フレームを設計する際には、身長だけでなく、特に「体重」も重要な要素として捉えているそうです。体格や体重に応じて使用するチューブも変えているとのこと。

特にこのQUIETは、フロントに荷物を積むことを前提にフロントセンターを設計しているそうです。
荷物を積んだ状態では狙ったステアリング特性を実現し、積載していないときもクイックになりすぎない、絶妙なバランスを目指しているとのこと。

こうした設計の積み重ねによって、荷物を積んだ状態でも気持ちよく走れる一台を目指しているのが面白いところだと感じます。

フロントセンターが長くなることは安定感にも繋がりますが、峠の下りなどでフレーム中心に置いていた身体重心を大きく前方向に動かすことでコントローラブルになりそれ故、積極的に身体を動かすことでライドフィーリングはもちろんブレーキングにも良い影響を及ぼすという要素が垣間見えます。

MADE BIKE SHOWでお披露目していたGHOOOSTとのコラボレーションバイクも圧巻。間近で見れて嬉しい。

ポリッシュのSHOVEL RESEARCH FMBCHなんてあったっけ?と思いましたが、こちらもGHOOOSTの林太郎さんががんばって磨いているそう(すごい)溶接もできる同氏はオリジナルでケージも作ってしまったそうで、舞さんのアートワークとの相乗効果で独特な存在感を放っていました。

このアーティスティックな手仕事感はGHOOOSTのお二人だからこそ成せる技なのでしょう。

AYA BIKES / アヤバイクス

GHOOOSTの舞さんのために製作されたATBを展示されていました。

女性のためのバイクということでシルエットも吟味されており、ホイールサイズは650Bで全体的なバランスの調和がとれた美しい佇まいでした。こうした性能だけではなく見た目のバランスの良さもマスプロのバイクでは実現・カバーし得ない、ハンドメイドバイクの大きな利点であると確信しています。

シート部分などには真鍮製の補強リングなど、随所に美しいディテールが散りばめられていました。
ロウの仕上がりも美しいです。この後フレームはアメリカ・カリフォルニア州サンディエゴを拠点に活動するマルチディシプリナリー・アーティストでカスタムバイクペインターでもある、Jonny Pucci氏にペイントを依頼するそう。

ハンドルにはLeker Leksのカスタムハンドルバーが取り付けられていました。
Leker Leksはアメリカでハンドメイドの自転車用ハンドルバーやアクセサリーを制作している工房で、今回BROOKSブースに居たBROOKS公認のリペア職人であるSimon Firthさんとも友人なんだとか。

BROOKS公認のリペア職人であるSimon Firthさん。とっても気さくな方でもっと話したかった...

そのほか、気になったパーツたち!

東京サンエスのブースでは、なんと最大40Cまで対応する予定のキャリパーブレーキが展示されていました。

リリースレバーの形状などはまだもう少し改良するようですがほぼ完成形に近い状態とのこと。
実際に触らせていただきましたがタッチ感も良く、ブレーキシューの上下移動調整幅も広くてなかなか良さそうです。裏側もしっかりと肉抜きが施されており、見た目以上に軽量な仕上がりになる予定とのこと。

また、フロントブレーキ本体上部のアームは、右前ブレーキ、左前ブレーキどちらでもケーブルルーティングが綺麗に施工できるようにアームが右側から出るタイプと左側から出るタイプの2種類を用意するとのこと。
これはメカニック的な目線から見ると非常にありがたいです。

キャリパーブレーキはスルーアクスル対応のリムブレーキ用ハブと同じくらいのタイミングでリリースを予定しているようです。スルーアクスル対応のリムブレーキ用ハブって乗り味どうなんだろうと思いますが、ディスクブレーキとはまた違った乗り味で剛性を感じるポイントが異なるそうです。これは試してみたいですね。

BESPOKED Osakaで感じたこと

海外から出展していたビルダーたちの作品にも、もちろん惹かれるものがたくさんありました。独創的なアイデアや、素材の可能性を引き出す技術、自由な発想から生まれる造形など、刺激を受けるものばかり。

一方で、今回あらためて強く感じたのは、国内のビルダーたちが持つモノづくりへの熱量でした。

手間を惜しまず限られた時間のなかで細部まで手を入れたもの、乗り手の使い方を想像しながら緻密に設計されたもの、そして自分たちが面白いと思うことを突き詰めて形にしたもの。それぞれに違ったアプローチがありながらも、どの作品からも作り手の考えや人柄が垣間見えたように思います。

やっぱり、自転車は完成したモノだけを見ていても、その面白さのすべてはわからない。どうしてこの形になったのか、何を考えて作ったのか。作り手と直接話すことで、目の前にある自転車がまた違ったものに見えてくるのが面白いところです。

今回のBESPOKED Osakaは、そんな当たり前だけれど大切なことを、改めて感じさせてくれる機会でした。

まだまだ気になるものはありましたが、長くなりそうなので今回はこのあたりで。

会場で聞いた話や、ここでは紹介しきれなかったアレやコレやについては、ぜひ店頭でお話しさせてください。

それではまた!