プロダクトレビュー

“自転車屋が考える、服” Vol.21 – Ride Style

こんにちは、Circles Tokyoの吉本です。
Vol.21となる今回は、このシリーズ初登場となるCircles Tokyoの私が担当します。

いよいよ間近となってきたRIDEALIVE 2026への準備は、皆様進んでおりますでしょうか?一体どんなイベントなのか初参加の私もワクワクしております。とにかく少しでも準備をしたくて、まずは服と装備は決めようとしていたところに今回のブログの依頼が。ということでRIDEALIVEに向けた“自転車屋が考える、服” をやります!

キャンプ道具一式を自転車に積載し、自走で50km以上の道のりを走って現地に集まるこのイベント。荷物を積載した状態の自転車は登坂での運動強度が上がり、11月であっても走行中はしっかりと汗をかきます。一方で、早朝の走り出しや標高を上げた山間部からの長い下り、そして日が落ちてからのキャンプ場では、走行風と冷え込みによって一気に体温を奪われます。

私がこうしたライドスタイルで大切にしているのは、自転車に乗る時の動きやすさや体温調整といった機能性と、輪行での移動中や、旅先で偶然巡り会う素敵なお店・場所に気兼ねなく入っていけるファッション性や遊び心を両立させることです。

1. 特殊断面繊維がもたらす、蒸れない行動保温着

【迷迭香】OCTA PO

早朝の寒い時間帯の走り出しや、山間部の長い下り、そしてキャンプ場での体温調整において今回のコーディネートの主軸となるのが、迷迭香のプルオーバー「OCTA PO」です。

素材には、昨今のアウトドア界隈ではもはや定番とも言える高機能素材「Octa®(オクタ)」が100%使用されています。Octa®の最大の特徴は、特殊な断面構造によって同じ直径の一般的なポリエステル繊維と比べて約半分の軽さでありながら、繊維の突起間に大量のデッドエア(動かない空気の層)を抱え込むことで、高い断熱・保温効果を発揮する点にあります。

さらに、通気性の高いメッシュ状の基布に起毛繊維を編み込んだ構造になっているため、一般的なフリースやウィンドシェルのように衣服内に熱や湿気がこもりません。止まっている時は暖かく、動いている時はオーバーヒートしない、寒暖差のあるライドには最適な一着です。

また、左胸のポケットに本体を裏返して丸ごと収納できるパッカブル仕様になっているのも、キャンプライドで活躍するポイントです。日中の暖かい時間帯など不要な時はフレームバッグの隙間にコンパクトにしまい込んでおき、肌寒さを感じた瞬間に取り出して羽織ることができます。

首元はスナップボタン仕様で走行中でも換気しやすく、鮮やかな蛍光イエローというカラーも含めて、薄暗い早朝や夕暮れの林道での視認性を高めながらライドやキャンプの気分を盛り上げてくれる一枚です。

2. OCTAの通気性を活かす、調湿・速乾インナー

【RAL】Merino Coolmax L/S Tee V2

メインで着用する「OCTA PO」のインナーとして組み合わせるのが、前回のブログでもご紹介したこの時期の愛用トップス「Merino Coolmax L/S Tee V2」です。

通気性と保温性に優れたOcta®の性能を活かすには、肌に直接触れるインナー側で「汗を素早く吸い上げ、肌面に水分を残さないこと」が重要になります。このロングスリーブTシャツは、天然素材である「メリノウール 50%」と、化学繊維である「ポリエステル(COOLMAX®)50%」を掛け合わせた特殊なハイブリッド生地を使用しています。

メリノウールは繊維内部に水分を吸着することで気化熱による急激な体温低下(汗冷え)を防ぎ、高い保温性と防臭性を発揮します。ただ、ウール100%の生地は保水量が限界を超えると乾きにくく、バッグのストラップなどとの摩擦に対する強度にも弱点があります。

そこに「COOLMAX®」を50%混紡することで、肌面の汗を素早く吸い上げて拡散させる速乾性と、繰り返しの洗濯や摩耗に耐えて長く着続けられる強度を補っています。

インナーがこの吸汗・拡散の役割を担い、その上に重ねたOCTA POが空気の層で保温しつつ湿気を外へ逃がす。この2枚の組み合わせによって、目的地となるキャンプ場までの道のりでかいた汗も到着する頃にはさらっとした着心地に戻っており、設営から夜間の滞在まで汗冷えすることなく快適に過ごすことができます。日中の暖かい時間帯にOCTA POを脱いでこれ一枚になっても、やさしい着心地と落ち着いた佇まいでそのまま過ごせるのも魅力だ。

3. 街の景色に馴染み、ペダリングを妨げないシルエットとギミック

【迷迭香】NYLON HARVEST TROUSER

迷迭香のボトムスというと、裾がリブとファスナーで絞られた「NYLON HARVEST TRAINER」の印象が強い方も多いと思いますが、個人的には裾幅を調整できるこちらの「NYLON HARVEST TROUSER」がおすすめです。

自転車での走りやすさや着座の快適性だけで言えば、ビブショーツを履くという選択肢もあります。しかし、電車のシートに座る輪行中も周囲を気にせずそのまま乗ることができ、何より普段着としても自然に穿けるほど機能性とデザインを両立しているのが迷迭香の魅力である。今回のRIDEALIVEのように、道中のお茶畑や地元の個人商店にふらっと立ち寄るような旅には、このトラウザーのシルエットがよく馴染みます。

生地にはナイロン100%を使用し、耐摩耗性や速乾性、軽さといった実用面でのメリットを享受しながら、普段の服とも違和感なく合わせることができます。

股下にはGramicciのパンツのように足の動きを妨げないマチ(ガゼットクロッチ)が設けられており、ゆとりのあるルーズテーパードのシルエットと相まって、ペダリング時に膝周りが突っ張るストレスがありません。そして自転車に乗る時は、裾のタブとスナップボタンを留めて裾を絞れば、チェーンリングへ裾を巻き込む心配もなくなります。

左側のフラップ付きスマートフォン用ポケットや、右後ろの二重構造になった大容量ハーベストポケットなど収納力も豊富で、キャンプ場に到着した後も手ぶらで色々な遊びができること間違いなしの一本です。

4. RIDEALIVEに向けた、自転車のコーディネート

ウェアのレイヤリングとあわせて、今回のRIDEALIVEに向けてアップデートしたキャンプライドにおすすめの自転車のパーツも少しご紹介!

【MKS Sylvan Works】Sylvan Cargo Cage

まず積載性を高めるために取り付けたのが、SIMWORKSでもお馴染みの三ヶ島製作所(MKS)が手がける「Sylvan Cargo Cage」です。

アルミニウムを採用しており、付属のL型ボトムプレートを含めても合計62gという軽さでありながら、長年のペダル製造で培われた精密な金属加工技術によって高い剛性を実現しています。2ボルト・3ボルトの両マウントに対応しており、最大4kgまでの荷物を底面からしっかり支えてくれるほか、底面のプレートを外せばテントポールなどの長尺物を固定することも可能です。

何より嬉しいのは、愛用している「SIMWORKS Bubbly Pedal Bronze」と完璧なカラーマッチングができること。アルマイトはその性質上微妙な色のズレが生まれますが、ペダルと同じ製造元が出している製品だからこそ、表面の質感から発色まで完璧なカラーマッチングが可能になります。積載性のアップと同時に、車体全体の統一感を引き上げてくれました。

【SIMWORKS】Fun 3 Bar

もうひとつ、長らく彷徨っていた私自身の「フラットハンドル問題」にいよいよ終止符を打ってくれそうなのが、「SIMWORKS Fun 3 Bar」。

最大の特徴は、独特の2回曲げのシェイプと「35°」という絶妙なグリップ角にあります。一般的なフラットバーは長距離の巡航では自然な状態よりも手首が内側に捻られる角度になり、尺骨付近に負担が集中して痛みが出やすくなります。逆に、手前に大きく戻ってくるプロムナードバーはリラックスした姿勢で乗れるものの、荒れた路面に差し掛かった際に上からハンドルを押さえ込みにくいという側面がありました。

Fun 3 Barのグリップ角35°・ライズ20mmというジオメトリは、まさにその両者の良さを繋ぐ設計です。腕を自然に伸ばした際の手首の角度に無理なくフィットするため、50kmを超える長距離ライドでも手が痛くなりにくく、それでいて十分なハンドル幅があるため、道中で突然のグラベルやトレイルに突っ込んでも高いコントロール性を発揮してくれます。

オンロードからダートまで道を選ばず走り続けられる、まさに万能なハンドルです。

走る時間と、降りてからの時間をシームレスに繋ぐ

汗を素早く処理するインナーと、熱や蒸れを逃がしつつ保温するプルオーバー。そして、身体への負担を減らしながら荷物を確実に運んでくれるパーツ選び。それぞれの素材や構造の特徴を把握し組み合わせることで、旅先での行動の自由度が大きく広がります。

キャンプ場に着いて汗冷えを気にせずそのまま設営や乾杯に移れること。輪行の車内や道中で見つけた素敵なお店に、裾のボタンをひとつ外すだけで気兼ねなく入れること。そして翌朝、手首や肩に痛みを残さず、また気持ちよくペダルを踏み出せること。

走る時間と、自転車を降りてからの時間を分断しない道具を揃えることで、1泊2日のキャンプライドはより快適で充実したものになります。11月の静岡で、それぞれのスタイルを持った皆さまとお会いできるのを楽しみにしております。

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