
私たちにとって、もはや夏の風物詩と言っても良いでしょう。
アメリカ・オレゴン州ポートランド発のハンドメイドバイクの祭典、MADE BIKE SHOW。
今年で4度目の開催、もちろん今回も行ってまいりました。今回の訪米ではMADE BIKE SHOWの前後にも色んな人たちを訪ねるべくロードトリップを組んだり、実は帰国してからも私が普段在籍している卸売部門・CWDで販売店様向けの展示会があったり、別の出張計画もあったため、ようやく落ち着いて振り返ることができそうです。
もし、楽しみに待ってくださった方がいらっしゃったら遅くなってしまいって申し訳ありません! まだまだ鮮度は高いと思いますので、興奮冷めやらぬ現地の様子を僕なりにお伝えできたらなと思います。どうぞお付き合いください。
今回の第1部はビルダー編。アルファベット順で振り返っていきます。
BIKE FRIDAY

同じオレゴン州に拠点を置くブランドということもあって、初回から皆勤賞のBIKE FRIDAY。ここ数年はショーのタイミングに合わせて意欲的に新しいモデルを発表している彼らですが、今年も気になるモデルをお披露目しています。

気になるそのモデルは、ロードモデルとして定番的な存在のPocket Rocketをさらにグラベル/オールロード向けに転化させたPocket Rocket Furtherです。



スルーアクスル・フラットマウントディスクブレーキを採用し、451サイズのタイヤを想定しながらも、BMXレースでしばしば使われるOS20インチという規格も想定することで小径車とは思えないほどの走破性を持ちます。
実はショーの後にユージーンの工房もお邪魔してしっかり試乗さえてもらったんですが、これは旅先での行動範囲をかなり広げてくれそうです。ありがたいことに早速オーダーもいただいており、早ければ12月頃からデリバリーが始まる見込みです。
今回から新たにカラーバリエーションに追加されたPeridot Greenもとても良いカラーでした。
BLACKCAT

BLACKCATのトッドは初年度の2023年ぶり。今回はブースを持たなかったものの、PAUL COMPONENTのブースでPAULさんが操ることでもお馴染みのバギーの上にショーバイクを展示していました。




今回このバイクはOakridge Trails AllianceとPAUL COMPONENTとの共同プロジェクトにより実現したバイクで、PAULさんが所有する1992年製のSALSAのダートドロップマウンテンバイクからインスピレーションを得たThe Cascade Cougarという29erドロップバーバイク。
このバイクはラッフルの賞品となり、その売り上げはオークリッジのトレイル整備や環境保全に充てられるという企画。
既にラッフルの受賞者は決まっており、こんなバイクに乗れるなんて羨ましいなと思いつつ、実は個人的にはもう一台ブースを持たないビルダーたちをクローズアップしているコーナーで展示していたロードバイクに完全に心をぶち抜かれたんです。




最近またロードバイクに跨ってライドを楽しんでいるっていうトッドが作るバイクは、しっかり走り込めるパーツで固めていながらも、オリジナルのドロップアウトや厳選された各チュービング、そしてその目を惹くセパレート型のブルームースステムなど、スチールだからこそ実現できるその美しさだけでなく、素材特性を活かしながら快適かつ素直に走るバイクに仕上げるのはさすがのトッドマジックともいうべきでしょう。
BREADWINNER

BREADWINNERのトニーは自身のDUCATI / SuperSport1000に跨ってブースに登場。会場へ向かうフリーウェイでバイクに颯爽と抜かれたなと思ったら彼でした(笑)。



A-RoadやG-Roadなど、やはり彼が作るドロップバーバイクはとてもシンプルで素直に走るからこそ、地元ポートランドを中心に根強い人気を誇ります。


実は今回ブースに持ち込んだSuperSport1000は自身で組み上げたものなんですが、ハンドル周りなど一部に自身の手で作ったTi製パーツを取り入れたようで、「それなら自転車も作れるじゃん」っていうことで今後はTi製のフレーム製造も期待できそうです。とにかく手を動かして生計を立てる彼だからこそ成し得ることなのかもしれませんが、まさに公私混同とはこういうことを言うのでしょう。
また、いよいよ来年から本格的に始動するFIRSTHAND FRAMEBUILDINGで講師も務める予定だということで、後世に続くビルダー育成にも彼が情熱を注いでくれるのはとても楽しみです。
DESALVO

昨年もこのバハバグで目立ちまくっていたマイク。実は今年はショーバイクも完全マッチングして見せ切ろうということで、サークルズでショーバイクをお願いしていました。

フラットバーの29erグラベル/アドベンチャーバイクはその素晴らしいマッチペイントに目が入ってしまいますがフレームはTi製です。



同じくショーでお披露目しましたSimWorksのSunRiseシリーズもアッセンブルして死角なしのバイクに仕上がっています。周りは32″のバイクが多かったですが、日本にはこれがベストでしょう!というマイクと私の共通認識の上で出来上がったバイクは間も無く日本で販売予定です。乞うご期待!
ちなみにショーが終わった後には久しぶりにAshlandにあるマイクの工房にもお邪魔したのでまたそちらも改めてご報告していきます。
そうそう、彼もFIRSTHAND FRAMEBUILDINGでTig溶接のクラスを受け持つことが決まっていますよ。
JAMMER BIKES

初期のMASH、そしてMACAFRAMAを通ってきた人ならきっと知らない人はいないであろう、James Newman。
めちゃくちゃ乗り込んだ超ビックサイズのHUNTER CYCLES製トラックフレームに跨ってSFの街を疾走する彼の映像は当時トラックキッズだった私にとって刺激が強すぎました。



そんな彼が今年から始めた自身のブランドがJAMMER BIKES。もちろんRick Hunterの手によって作られる、Jamesのストリートライドの経験が詰まったトラックフレームを展開します。こちらはサークルズとブルーラグさんでお取り扱いさせていただくことになったので続報を楽しみにお待ちください。
RETROTEC

RETROTECのカーティスは、自身のブースこそ出さなかったものの、PASS AND STOWのブースに自身の乗る32″リジットMTBを展示していました。



PASS AND STOWの新しいリアラックとそれに合わせてフロントラックもマッチペイントしたバイクは会場でもかなり目立っていましたね。個人的にはこういったラックありきのダート系バイクを作らせたらカーティスが一番だと思ってます。

長身な彼に32″について聞いてみましたが、「やはりその径の大きさからくるスピード感は特筆すべき点、ただ、タイヤボリュームには限りがあるので、ドロップオフの多いようなトレイルライドでは乗り心地が硬すぎてフルリジッドは正直お勧めしないかな。バイクパッキングやダートツアラー的な解釈にはとても効果的だと思う」と言っていたのが印象的でした。

期せずして私の32″バージン喪失はフロントラックの上となりました。(※良い子は絶対に真似しないでください)
SYCIP

こちらも毎年常連、SYCIPのジェレミー。DESALVOのマイクに触発されてか、今年はミニクーパーにルーフラックをつけて参戦。エアコンが効かないらしくサンタローザからのドライブは大変だったようです(笑)。
ジェレミーも長身なオーナーさんのご希望で32″のドロップバーバイクを持ち込んでいました。




お馴染みのウィッシュボーンステイやセグメントフォーク、そしてレーザーカットした王冠マークやコインを散りばめたりと、ジェレミーの遊び心が詰まりながらも、アドベンチャーバイクとして完璧な仕上がりのバイクはとても印象的でした。
32″という最新鋭の規格をベースにしながらも、コンポーネントにはMICRO SHIFTのMXとメカニカルシフトとブレーキを採用しているるのも面白い組み方です。
STINNER FRAME WORKS


実はこの度新しく取り扱いを始めるのがこのSTINNERです。
カリフォルニア州サンタバーバラに拠点を置くSTINNERは、その主賓であるアーロンを中心に、TiとSteelの二つの素材のハンドメイドフレームを展開しています。
アーロン自身のビルダーとしての長いキャリアはもちろんですが、ここSTINNERでビルダーとして経験を積んで独立していったビルダーも非常に多く、次世代ハンドメイドビルダーコミュニティーにおいて重要な立場を担っているブランドです。




彼らのブース以外にも、地元ポートランドでカスタムオーダーを得意とするショップ・Cycle Pathのブースでもフォーカスされていましたが、サークルズでもこの秋からストックサイジングを中心に展開を広げていきますので要チェックです。

このショーの前にはサンタバーバラの工房を訪ねてしっかりドキュメントしてきましたので、その様子についてはまた近々ご紹介できると思います。お楽しみに。
TOMII CYCLES

TOMII CYCLESのナオさんはSimWorksのブースにバイクを一台用意してくださったこともあり、オースティンより自らバイクを持って参加してくれました。




持ってきてくれたのは、好評いただいているFaraway Tireの新サイズ650Bx55mmを履かせたフラットバー仕様のFat Canvas。2年前にリリースして以来サイズオプションのリクエストの声を多くいただいていた中で、ようやく新サイズを展開できそうです。今回はその貴重なファーストプロトタイプを突貫で組み合わせてくれました。
トーンの異なるグリーンをうまく組み合わせたその配色の妙、そしてお家芸の彫刻によるディティールなどナオさん妙技がこれでもかと散りばめられたバイクは、SimWorks USAを日頃からサポートしてくれているニューオーリンズのショップ・Bayou Bicyclesによるオーダーです。このショップもすごいのでぜひチェックしてみてください。
WILDE

最後はお馴染みのWILDE。もちろん彼らはプロダクションモデルだけでなく、専属ビルダーBrad(写真右)の手によって作られるハンドメイド規格も熱心に行なっており、今年は彼らなりのJoe Breezeの作るBreezerへのオマージュとともに、モダンな解釈を落とし込んだレトロ29erのPleezerというモデルがブースの前を通る多くの人の足を止めていました。




個人的に注目したのはもう一つのショーバイクで、以前Spelljammerを開発した経緯から、ジェフ自身が自分にとっての本当の一生モノのバイクを作りたいという思いで開発したTi製のランドナーバイク。
このバイクにはSimWorksのシルバーパーツをふんだんに採用してくれ、モダンでありながら時代を超越したスタイルを確固たるものにしています。ジェフ、SimWorksパーツを選んでくれてありがとう!
Vol.2に続く

というわけで、足早にーと思いましたが、やっぱりあれもこれも伝えたくってついつい長くなっちゃいました。
ひとまずVol.1はこれにておしまい。Vol.2を楽しみにお待ちください!
