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PAUL COMPONENTのニュースレターより、BLACKCAT BICYCLES / Toddへ7つの質問

Todd / BLACKCAT BICYCLES At the 2026 MADE BIKE SHOW.

先日、PAUL COMPONENTから届いたニュースレターに、BLACKCAT BICYCLESのToddへのインタビューが掲載されていました。

フレームビルダーとしての話はもちろん、愛車のTritonや普段走っている道、アートスクールを辞めた理由、さらには山の中の家や新しい工房の話まで。

自転車そのものの話から少し離れたところにも、Toddがものを作ることを楽しんでいる姿が見えて、とても面白い内容だったので、今回はそちらを日本語に訳してご紹介させていただきます。

読み進めるほどに、Toddという人物に興味を惹かれていくそんなインタビューです。


7 Questions with Black Cat Bicycles

Toddとは昔からの知り合いで、初めて会ったときから彼のことが好きだった。

彼は「NOR CAL CARTEL」のメンバーでもあります。これは、非常に優れたバイクフレームビルダーたちが集まったグループで、彼らはフレームを作るだけでなく、自転車に乗ることにも非常に長けています。

Toddのペイントは本当に素晴らしいし、フレーム製作の技術も申し分ありません。

2010年代初頭のある「Meet Your Maker」のイベントで、僕が彼の横を通りかかったとき、彼はベンチに座っていました。

「大丈夫?」と聞いたら、彼は「緑内障がひどくてね」と答えました。

僕はその後2年くらい本気で心配していたんですが、あるときになって、それが当時医療用マリファナの処方箋を手に入れるための、かなり簡単な口実のひとつだったと気づきました(笑)。

まんまとやられました。

とにかく、Toddは僕がこれまで出会った中でも最も才能のあるフレームビルダーのひとりです。

— Mr. Paul


1:緑内障の経過はいかがですか? 

Todd:現在はコントロールできています。ただ、年齢とともに起こる一般的な目の変化から完全に免れているわけではありません。とはいえ、それでもやっぱりかなり不安になるものです。

2:今所有しているバイクの中で、一番お気に入りのオートバイについて教えてください。動くものでも、動かないものでも構いません。なぜそれが特別なのですか?乗り心地はどうですか?

Todd:僕の中では、これからもずっと1953年式のTritonが一番のお気に入りだと思います。

これは、かなり初期のNorton Dominator 88のFeatherbedフレームに、1959年式Triumph Bonnevilleのエンジンとギアボックスを組み合わせたものです。「Triton」という名前も、両方のブランド名を掛け合わせたものです。

1999年にニュージーランドへ行ったときに、製作途中の状態で持ち帰りました。それから長い年月をかけて、いろいろな費用をつぎ込み、いつものように血と汗と涙、時間とお金を費やしてきました。

このバイクはManx Nortonに由来しており、疑いようもなく(笑)、これまで作られた中で最も美しく、魅力的で、目的意識のあるバイクだと思っています。(これは僕が死んでも譲れない主張ですが、Moto Guzzi Ottoも僅差で2位かなと思います。)

当時、このフレームの設計は本当に革新的で、その後何十年にもわたってひとつの基準になりました。

言うまでもなく、73年前のオートバイとしてはかなりよく走ります。

サスペンションとブレーキはアップデートしているので、そこだけは数十年新しいものになっています。でも、乗り味は依然としてかなり生々しい。ライダーを助けてくれるものも、メカニックを助けてくれるものもない。電子制御もない。余計なものは何もありません。

僕より70年くらい新しいバイクに乗っている人たちと一緒に走ることもありますが、僕のTritonでも十分やっていけます。

間違いなく死ねるくらいのスピードが出せますが、制限速度以下の低速域では退屈になってしまうというほどの速さを持っているわけでもない。僕にとって、100mph(約160km/h)に達するまで面白みがないようなバイクは必要ないですからね。

なぜこれが僕にとって特別なのかというと、僕は毎日、一日中ものを作り、問題を解決しています。でも、仕事で作ったものは最終的には誰かの手に渡っていきます。

もちろん、その代わりにお金をもらうわけですが、このオートバイは、自分が作ったプロジェクトの巨大な集合体であり、自分の手元に残して、使って、手を加えたり、取り外したり、そして何より、そこから学ぶことができます。

自分の技術や挑戦したい気持ちを押し上げてくれて、それによって仕事や人生における自分の能力まで高めてくれる。

僕にとっては、25年間にわたる、二輪車を使った精神的なトレーニングであり、スキルを広げてくれた存在です。その価値は、数千ドル程度の実際の金銭的価値をはるかに超えています。

でも、ほとんどの人にとっては特別でもなんでもないでしょう。ただの、うるさくて、臭くて、そこら中にオイルを漏らす古いオートバイです。

3:平日に普段乗っているお気に入りのライドコースは?

Todd:実は今、ロードバイクにまた乗り始めたところです。

8か月ほど、オーバーユースによる腱炎のため、ほとんど強制的に自転車に乗れない期間がありました。もしかしたら、あなたの誕生日にChicoでリジッドのマウンテンバイクに乗ったせいかもしれませんし、そうじゃないかもしれません。

僕の弁護士から連絡が来るかもしれませんよ(笑)。

とにかく、また自転車に乗れることをかなり楽しみにしています。

お気に入りのライドルートについては、僕はこれまで長期間ひとつに決められたことがありません。

幸い、Santa Cruzには、昔の林道を舗装したような、古くて狭い、あまり状態の良くない道路が山の中にたくさんあります。それらをつなげて、無限に違ったルートを作ることができます。

夏には泳げる場所があるルートもあるし、泥の季節と埃っぽい季節の間には、ものすごく急なトレイルを楽しめる日もあります。静かな森の中を走って、光の変化を眺めることもできます。

ただ、基本的にはいつも登りです。

この地域には、住宅地かイチゴ畑以外に、平らで開けた場所があまりありません。そして僕の家も丘の上にあるので、どこへ行っても最後には約1,000フィート(約300m)の登りが待っています。

自宅兼工房からロードバイクに乗れば、一日中走っても信号に一度も出会わないことができます。

マウンテンバイクなら、タイヤを一度も舗装路につけずに走ることだってできます。

ひとつに決めるのは難しいですね。

4:最近はバイクに乗っている方が好きですか? あなたにとってバイクと自転車の似ている点と違う点は何ですか?

Todd:いや、まったく別のものですね。

オートバイでは、自転車をペダルで漕いでいるときに感じるような、瞑想的な精神的解放感は得られません。

何年か自転車から離れるたびに、その違いを強く感じてきました。

この2つを実存的な意味で結びつけているものが何なのか、それを説明できる知識は僕にはありませんが、両方を楽しむ人がこれだけ多いのだから、きっと何かあるのでしょう。

どちらも、何でも切り離された体験になってしまいがちな現代の世界の中で、身体感覚を伴う体験だからなのかもしれません。

自分でオートバイや自転車を作るというのは、意図を持ってひとつひとつ作業を積み重ねていく、とても長いプロセスです。

そして、それを道路に持ち出して走らせると、一日の中に詰め込めるだけの身体感覚と刺激が一気に押し寄せてくる。

…なんだかものすごく考えすぎた、気取った言い方になってしまいましたね(笑)。

どうかな、、、

どちらも、精神が「フロー状態」になっている中での中で、転ばないようにバランスを取ろうとするという点では似ているのかもしれないけれど、僕にとってはこの2つに実際に重なる部分はそれほどありません。

だって、自転車乗る時にレザーパンツを履くのは本当に変ですよね。けれどオートバイに乗る一番の理由としては、それこそが文句なしの理由ですからね。

BLACK CAT’s iconic original dropout a.k.a ArtSchool Dropout

5:聞かずにはいられません。美術学校に通っていたんですか?あなたの”ドロップアウト”は自転車業界で最も有名な名前の一つです。

Todd:はは、ありがとう。

実際、大学ではアートを学ぼうとしていました。でも、長くは続きませんでした。当時の僕には、もう一度デッサンの授業を受けることよりも、子ども時代や自分が育った環境から完全に離れることのほうがずっと必要だったんです。

奨学金や助成金ももらっていましたが、それでもそちらを優先する必要がありました。

友人と一緒にOaklandへ引っ越し、CCAC(California College of Arts and Crafts)に通おうと考えていました。

あるいは、San Franciscoにある、特定の美術印刷所で働くことも考えていました。僕はシルクスクリーン印刷、つまりセリグラフィーに興味があったからです。でも、Oaklandに着いてみると、CCACに通うための経済的な現実が見えてきました。

そして、ちょうど働きたいと思っていた印刷所で働いている女性と知り合ったんですが、彼女は「ここは最悪だし、ボスは嫌なやつだ」と言っていました。本当だったのかどうかは分かりませんけど(笑)。

こうして、私の芸術家としての夢はかなり打ち砕かれてしまったんですが、ベイエリア(サンフランシスコ湾周辺)に引っ越したことで、その当時の文化の中心地だった場所に身を置くことができ、自分が育った環境の外側に広がる、まったく新しい世界を見ることができました。

それは僕にとって、ずっと価値のあることでした。

正直なところ、シルクスクリーンや銀細工の学位を取ったところで、それによって何を得られたのかは分かりません。

結局、自分自身でいろいろなものを身につけてきましたから。

だから「Art School Dropout(アートスクール中退)」という名前は、かなりそのまま自分の経歴を表しているんです。

まぁ、よくあるちょっと心温まる成長物語ですよ。ただ、そこにバイクショップでの仕事がちょっと多く加わっているだけですね。

6:これまでにフルサスペンションのフレームを何本作りましたか?とても印象的なバイクですよね。1本作るのにどれくらい時間がかかりますか?これから何本くらい作る予定ですか?

Todd:まだ3本だけです。でも、あと2本くらいはこれから作ることになると思います。

ありがとう。あれは間違いなく、デザインと問題解決のための挑戦です。

最初の1台を作ったのは、自分自身が作ったものではない自転車に乗るのは、自分としてはちょっと違う気がしたからです。

そしてそのデザインは、手元にある工具を使ってどうやって問題を解決するか、というところから自然に決まっていきました。

これまで身につけてきた技術を使い、1950~60年代のグランプリ・モーターサイクルをフィルターとしてデザインしています。

すべての細かいパーツを3Dプリントしてしまえば、ずっと簡単だし、現代の自転車業界が評価するような「より良い結果」を得ることもできるでしょう。

でも、それは僕が求めているものではありません。

そして、そんな現代の製造技術と競おうなんて、自分がそんなに思い上がっているわけでもありません。

すべてのパーツを手動の工作機械で作るほうが、はるかに難しい。

そして、その結果として生まれるデザインや仕上がりには、現代の製造工程なら、正気だったら絶対に作らないようなものがたくさんあります。

でも、ありふれた大手ブランドのバイクに乗るより、ちょっと変わったものに乗るほうがずっと楽しい。

それだけです。

どのくらい時間がかかるかについては…考えたくありません(ここにヒステリックに泣く絵文字を加えてください笑)。

これまでのものはすべてゼロから作ったので、それぞれに膨大な時間とお金がかかっています。

手動操作の工作機械を使って、世界に一台だけのフルサスペンションバイクを設計・製作してもらうためにお金を払う人は、かなり限られています。

だから、今後たくさん作ることになるとは思っていません。

毎回ほぼ間違いなく楽しく、やりがいのあるプロジェクトですが、通常の工房での製作の流れを大きく乱してしまうので、通常のビジネスとして続けるのはあまり現実的ではありません。

僕が挑戦することやモノを作ることが大好きなのは明らかなので、これから何が出てくるかは分かりませんけどね。

7:自転車とは少し離れた話題でもいいのですが、最近は木工なんかしていますか?

Todd:あなたがやっているようなレベルの木工は、到底できていませんよ(笑)。でも、6年ほど前に山の中に土地を買いました。

そこには、修理が必要な家と、手を入れる必要のある土地がありました。それ以来、家も土地もずっと改修しています。なので、かなり木工をしています。

木を伐採したり、チェーンソーを使ったり、粗い骨組みを作ったり、仕上げの木工まで、いろいろなことを試しています。

精密な金属加工に慣れた頭から、「古い家を直すときには90度の直角なんて存在しない」という現実を受け入れる頭に切り替えるのには、かなり苦労しました。

去年は古い池を掘り直して、新しいライナーを敷き直しました。

かなりの重労働で、正直、安全面でもちょっと問題があるような作業でしたが(笑)、裏庭にカエルの池ができたのはかなり気に入っています。

それに、古い池の底に何十年も溜まっていた泥が、トマトの成長をものすごく促進してくれました。おかげで、トマトがまるで木みたいになっています。

今は新しいショップを建てる準備もしています。これはかなり楽しみです。ずっと、自分が作業するための納屋のような建物が欲しかったんです。

うまくいけば、近いうちに実現するでしょう。

今は、すべての物が朽ちかけた小屋がひしめくスラム街のような場所に散らばっているだけなので、バラバラになっているすべての工具や趣味の道具をひとつ屋根の下にまとめられる、本物のショップができるなんて、夢のようです。

ものを作るのが好きな人間にとっては、なかなか楽しい人生ですよ。

– Photo Credit: PAUL Component newsletter.