世界最大級のタイヤ会社であるミシュランの始まりは、1863年に設立されたBarbier, Daubrée et Cieという株式合資会社でした。 創業者のアンドレ・ミシュランとエドゥアール・ミシュランのミシュラン兄弟の名前を冠したMichelin et Cieとの名称は1889年に採用されましたが、当時のミシュランは農機具やゴム製品を製造販売する会社でした。 ある時、ひとりのサイクリストが、パンクをした自転車用のタイヤを修理するために、ミシュランの工場を訪ねたことで会社は大きな転機を迎えます。まだ空気入りのタイヤが珍しかった時代、そのタイヤは乗り心地に優れるものの、一度パンクをしたら修理に何時間もかかるものでした。 しかし空気入りタイヤの快適な乗り心地に魅了された兄弟は、わずか15分でタイヤの取り付けを可能にする技術を開発したのです。そして、そのタイヤと技術を世に広めるために、世界最古の自転車レースである「パリ・ブレスト間往復レース」に臨みました。
結果は見事、ミシュランが開発したタイヤをつけたシャルル・テロン選手が、2位の選手に8時間もの大差をつけてゴールし、自らの発明を世に知らしめました。この自転車レースへの参戦こそが、ミシュランタイヤの歴史のはじまりだと言われています。