カリフォルニアフレームビルダーのレジェンド、ブルース・ゴードン本人が永眠しもう何年か経つ。
彼は何も知らなかったこの僕に美しい世界があるということを会話ではなく、道具を通して伝えてくれた数少ない人物だった。
彼のバイクの現物を最初に見たのは2007年のカリフォルニア、サンノゼで行われたナーブスの会場であった。
僕の記憶が正しければ、そのブースには3台のバイクが展示してあったはずだ。
1台は上記のラグドのライトツーリングバイク、ハンドメイドのカーボンフェンダーと独特の線を持ったハンドメイドのキャリアを装着、アボセットO2を付けているあたりがニクイ、シンプルながら本当にブルースにしか作れないバイクだと個人的には思う。
そしてもう1台のバイクにも上記のバイクと同じカーボンフェンダーが奢られ、実は最初に見たときは目を疑ったのだけど、なんとカンピーレコードのフロントトリプルを装着したそのスポルティーフ バイクが展示してあり、僕はそれにハンマーで殴られたような衝撃を受けた。
なぜならカンピーレコードといえば世界最高峰のレース機材であり、それこそ多くのサイクリストにとっては高嶺の花、ほとんどの購買層は裕福なエンスージアストで、当然のようにフロントはレース機材と同じダブルがほぼ100%、そして実際にそれを彼らが使っているかは確かではなかった。
若かりし僕は人それぞれの価値観を理解しようともせず、何事も小馬鹿にしてしまうような典型的なクソガキであり、ひねくれ者であり、何事も直視して見ていなかったのだと、このスポルティフバイクに “アメリカ” で出会ったことで僕の愚かな概念は木っ端微塵となった。
それは本当に美しいバイクで、写真が見つからないのが残念なのだけども、レコードのフロントトリプルのコンポーネントをあそこまで優雅に美しく装着させることができるのかと心が打たれたのだった。
そしてここからが本題なのだけども、もう1台の展示といえばとてもクリーンでシンプルな700cのツーリングバイクに、少し太めのマルチパーパスタイヤを履かせ、これもシンプルながらあくまでの機能を重視させた前後のキャリアとパニアを装備し、コンポーネントはXTとアルテグラをミックスしバーエンドコントローラーで引くシンプルツーリングバイクだった。
よくよくタイヤ見てみると700cなのだけどもそれは通常のツーリングタイヤよりもかなり太く、どんな道でも走破するためにはとても調子が良さそうだなと軽く思ったのだったのだけども、それを後に初期型の40mm幅を持つロックンロードタイヤだと知ることになる。
このロックンロードタイヤを調べていくと彼を慕う多くの人やビッグタイヤにおける歴史のサイトに出会ったのだけども、分断され始めたこの世界のほとんどにおいて、ブルースがいかに無名であったか、でもまったく真逆の澄み切って今にも生物が生まれでそうな深海において、彼がどれほどまでに有名だったのか、そのとてつもなく大きなギャップがとても楽しくて、そして僕は美しいと思った。
惜しまれつつも製造が中止されたかと思ったロックンロードタイヤが2021年にまさかの復活。80年代初頭に製造されていたノキアのスパイクタイヤからインスパイアを受けたトレッドパターンを持つこのタイヤサイズは、当時にしては画期的な700x43cというユニークサイズ、今ではごくごく普通に見つけれるようになった通称モンスタークロスサイズのタイヤの最終デザインをしたのはMTB界のレジェンド、ジョー・マーレーでした。
生産はもちろん日本の誇る世界のパナレーサー、タイヤのトレッドパターンは、低いノブが全体に散りばめられて、街中ではスムースに、そして乾いたダート、ちょっとしたシングルトラックでも威力を発揮し、豊かなエアボリュームは路面からの突き上げも軽減できます。また最適化されたコンパウンドとケブラービートを採用し重量面も転がり抵抗値も非常に軽く仕上がってます。これひとつで、家の玄関から始まり、車が行き来するストリートをくぐり抜け、街はずれの丘にのぼり、ダートを駆け抜ける、あらゆる走路のイメージ全てを網羅できるオールマイティな究極のフリーダムタイヤです。
According to Bruce World.
– 私は美術を専攻していたことによって、より美的に好ましく、そして楽しい方法でモノ作りをするための方法を知りました。
– 機能とはカスタマーのためにものを作る事の背後にある、最も重要なアイデアと行っても過言ではありません。 あなたの自転車は自分のニーズを満たす必要はあり、それは審美的に豊かな方法で構築されるべきですが、やはり最初は何よりも機能なのです。
– どこで作られたものなのかはとても大きな事実である。
– 多くの企業がものを設計するとき、殆どの場合は利益のために、そして低コストのために他の国で製造しています。 わたしたちは倫理的に供給、調達された製品を使うことを信じています。そしてそれを行うことによって実際にモノを製造する人々の生活の質を向上させると考えています。
– 私はあなたの個性をより拡張するためのカスタムバイクを製造するためにここペタルマにいます。 そして乗ること、フィットすること、そして見た目をどのようにしたいのか、あなたのための自転車をしっかりと考え、正確に作ることが大切です。 もしそれができたのならそれは一生続くあなたとあなたの自転車の間の物語を育みます。
SEE YOU LATER.