SHIMANOの創業地の堺は、鍛冶屋の伝統を持ち、16世紀以来包丁と鉄砲の町として知られ、明治に入ってから自転車の部品や完成品の生産に業種転換し、日本の自転車産業の中心地となっていました。 SHIMANOは堺の鉄工所職人だった創業者・島野庄三郎が28歳で創業したのですが、同社は1921年にフリーホイールの生産にとりかかり、1939年には工作機械200台、雇用人員200名を数える、日本最大のフリーホイールメーカーとなっていました。 その後、1960年代後半に米国や欧州で起こったスポーツサイクルブームが追い風となり会社は急成長し、1973年にリリースしたDURA-ACEは、変速機やブレーキ、ハブ、チェーンホイール等をセットにして販売し、コンポーネントという概念を作り上げたことでも有名です。
今でこそ世界最大の自転車パーツメーカーですが、1981年に投入したAXシリーズはSHIMANO社の屋台骨を揺るがす事態を引き起こした、AXシリーズはエアロダイナミクスを大胆に取り入れ、世界にセンセーションを巻き起こしたのだが、強度不足による破損、整備性や互換性の問題、実感できないエアロ効果等、完成度の低さから失敗作との烙印を押されたのです。 しかし、この手痛い失敗を教訓とし、SHIMANOは製品化前に実戦テストを念入りに行うようになり、高い信頼性を誇る製品を生み出す体質へと変貌させたのです。
1984年にはポジトロンシステムの技術を応用し、変速レバーにラチェットを設けることで変速を容易かつ正確にしたシマノインデックスシステム(SIS)が大ヒット。 また、チェーンホイールやスプロケットに加工を施し変速を迅速にするハイパーグライドシステムを開発、さらに変速レバーとブレーキレバーを一体化したデュアルコントロールレバーでハンドルから手を離さずに変速できるシマノトータルインテグレーション(STI)を登場させ、他社に決定的な差をつけ、世界最大の自転車パーツメーカーとして君臨し続けています。